気になる本音 前編

「華原くーん、チョコ受け取ってー!」
「私も私もー!」
「ちょっとどきなさいよ!華原君に渡せないじゃない!」
「何ですってーっ!」
大勢の女子達の歓声と、我先にとチョコを渡そうと繰り広げられる揉み合いといがみ合い。それを前に、雅紀は心の中で大きく溜め息を吐いた。
(あー…面倒くさ。こいつらもよくもこんなことにエネルギーを使えるよな)
あまりの彼女達の勢いに、つい変に感心してしまう。いつも明るくて優しい雅紀が、爽やかな笑顔の下でそんなことを考えているなんて、目の前の彼女達は思いもしないだろう。

2月14日。バレンタインデー。
日本では女性が好意を持つ男性へチョコレートを贈るとされる日。
そのため朝から学校内は、男子も女子も各々に期待と不安で色めき立っている。
しかし、雅紀にとって今日という日は、憂鬱以外の何物でもなかった。
なるべく受け取らないように、朝から注意を払ってきた。できるだけ一人にならないように行動し、用事を作っては渡しにくいような空気を作り。しかし、昼休みにちょっと油断したのが運の尽きか、裏庭で一人でいる所を彼女達に見つかってしまい、現在に至っている。
(こんな時、一ノ瀬さんみたいにハッキリいらないって言えたら楽なんだろうな)
無暗に他人に踏み込まれないように付けている『明るくて優しい自分』の仮面は、こういう時、酷く重く感じる。
いっそこの仮面を外したらどんなにスッキリするだろう。しかし、簡単に外すことなんてできないから、今は上手くこの場を乗り切らなければ。
こうしている間にも時間は確実に過ぎていく。せっかくの休憩時間を無駄に費やすのは御免だ。
「ほら、みんな落ち着いて。…サンキュ!嬉しいな、帰ったら食べるよ」
適当な言葉を選びながら、一人一人、チョコレートを受け取る。得意の爽やかな笑顔は崩さない。そして貰ったチョコレートは、次々と手持ちの紙袋の中へ。こうなるかと思って持ってきておいて正解だった。全てを受け取った時には、袋いっぱいにチョコが埋め尽くされていた。
「あっ、そうだ。オレ、部活のミーティングあるからそろそろ行かないと。ごめん皆、じゃあなっ!」
本当はミーティングなんてなかった。しかし、こうでも理由を付けないと彼女達から逃げられない。
「頑張ってね~!」と聞こえる女子達の声援を背に、雅紀は心の中で嘲笑し、足早に校舎へと向かうのだった。

校舎の二階へ上がると、廊下のつきあたりにある会議室へと歩みを進める。辿り着くと、その扉を少々乱暴気味に開けた。
現在使われることがないこの部屋は、滅多に人が来ない上、扉の鍵は壊れてそのままにされている。校内でも穴場の場所で、最近一人になりたい時によく利用していた。
やっと仮面を外すことができる。はぁー、と大きくため息を吐きながら、雅紀は椅子に腰掛けた。ドサリ、とチョコの入った紙袋を隣に置く。
(何でバレンタインなんて日があるんだよ。あんなの製菓会社のこじつけだろ?良いように利用されてるだけだってのに…ったく、いい迷惑だっての)
紙袋いっぱいのチョコレートに目を移す。こんなにたくさん、どうしろと言うのだろう。
正直甘いものはそんなに好きなわけではないし、こんなに貰っても食べきれない。
更に面倒なことに、来月にはホワイトデーなんてものまである始末だ。
昨年はお菓子を色々買って適当に配ったっけ……今年もそれで良いだろうか。
「…本当、面倒くさいな」
ボソリと小さく呟く。その声は静かな部屋に響いて消えた。
男子達には「雅紀はいっぱいチョコを貰えるから羨ましいよなー」なんて言われるがとんでもなかった。
自分は彼女達の気持ちに応えるつもりなんて更々ないし、押し付けられるだけの好意ははっきり言って迷惑なだけだ。
……一つの例外を除けば。

「……」
思い浮かぶのは、一人の少女の姿。
(……そういえば、桜川からチョコ、貰ってないな)
桜川ヒトミ。二年の頃から何かと縁があって、少なくない時間を共有してきた、同級生。
去年のバレンタインデーは、さっきみたいに女子達に囲まれていた時に、彼女からもチョコをもらったっけ、と思い返す。
そしてその一カ月後の卒業式。ホワイトデーのお返しと共に、自らの本性を彼女に教えた。
始めこそかなり動揺していたものの、数日後には今までと変わらない態度で、ヒトミは雅紀に笑いかけた。
それだけでなく、本当の雅紀を理解しようとさえしていた。
そんなヒトミのお人好しさに、ほとほと呆れたものだ。
しかし、だからだろうか。
気付けばヒトミの前では素で接するようになり、去年よりもずっと彼女との距離は近くなったように思う。
ヒトミの性格を考えれば、きっと今年もくれるだろう。
…去年のように、友人として。

…本当にそうだろうか?
頭の中で、自分の声が問いかける。
去年と今年とでは、自分とヒトミの関係は若干異なっている。
自惚れかもしれないが、去年は少なからず彼女からの好意があったように思う。しかし、その好意は仮面を付けた自分へと向けられていたものだ。
今だって本性を明かした自分と変わりなく付き合っているが、同じように好意を持ってくれているかわからない。
それに、彼女にだって他に好きな相手がいるかもしれない。今年はその相手だけにしか渡さないということだってあり得る。
そこまで考えて、胸がチクリと痛みを発した。我に返り、その考えを振り払うように頭を振る。
(何考えてるんだよ、オレ。そんなことを考えるなんて、どうかしてる)
バレンタインなんて迷惑だと思っているのに、ヒトミからのチョコは気にしているなんて。
さっきまで自分を取り囲んでいた彼女達のことを笑えやしない。
「…何やってんだろ、オレ」
時計を見ると、休憩時間も残り僅かなことに気付いた。
「そろそろ戻るか…」
重い腰をあげ会議室を出ると、教室へと歩みを進める。その足取りは、いつもよりも少し重く感じた。
きっと、先程の彼女らとのやり取りで疲れているのだ。教室に戻ったら授業までちょっと居眠りするのも良いかもしれない。

階段を上がり、廊下を曲がればすぐ教室だ。
もうすぐだ、と思った矢先、廊下の奥に見知った人影が目に入り、思わずピタリと足が止まった。
(…桜川と、…木野村…?)
視線の先には、ヒトミと透が楽しそうに話していた。こちらに気付く様子は一切ない。
ただそれだけの光景に、何故か胸がざわめく。
ヒトミと透が廊下で談笑することなんて、別に珍しいことではない。
三年に上がり、雅紀と透は同じクラスに、ヒトミは別のクラスになってしまった。
しかし、クラスは隣だから用があればお互いの教室へ行き来するし、廊下で少しおしゃべり、なんてこともしばしばある。それは雅紀も例外ではない。
目に入ったのは、ヒトミが透に手渡していたそれ。
包装紙で可愛くラッピングされた小さめの箱。
それは、きっと先程から雅紀が気になっていたもので。
「………」
少し距離があるから二人の会話は聞き取れないが、照れながらそれを受け取る透と、嬉しそうに微笑むヒトミの姿だけで、充分想像できた。
ジクジクと黒い感情が胸の中に広がっていく。それに気付かないふりをして、足早に教室へと入った。
少し乱暴に椅子を引き、席に座る。居眠りしてしまおうと決め込むが、そんな自分の思いとは裏腹に、心はザワザワと落ち着かない。
(……別に、桜川が誰に何をあげたって構わないだろ)
そう必死に自分に言い聞かせる。しかし、ちっとも納得できていない自分がいて、益々胸が苦しくなっていくような気がした。
しばらくすると、透が教室に戻ってきた。
その手には、先程ヒトミから貰ったチョコレートを大事そうに抱えている。
ふと、透と目が合う。すると、透は一瞬ビクッと驚いたような表情を見せた。
「…?」
どうしたんだ?、と思っていると、透は自分の席につかずに雅紀の方へとやってきた。
「…か、華原君。どうしたの?…もしかして、気分でも悪い?」
「え?」
予想もしなかった透の問いかけに、雅紀は目を瞬かせる。
「あ、ごめんね、急に。えっと、華原君、今ちょっと難しそうな顔をしてたから。もしかして気分が良くないのかなって…」
そこで、さっき自分は透を睨みつけてしまっていたのだと気付く。それも、無意識に。それを透は気分が悪いからだと解釈したらしい。
「え?オレ、そんな顔してた?」
「…うん。もし体調が悪いなら、保健室に行った方が…」
雅紀の気分が悪い理由は自分にあるだなんて、透は思いもしないだろう。
ただ、純粋に雅紀を心配している。それが余計に腹立たしく思えた。
…いや、透は悪くない。こんな風に思う自分がおかしいのだ。
「ああ、ちょっと疲れちゃってさ。でも全然大丈夫だよ。心配してくれてありがとな」
我ながら白々しい笑顔で答えると、透はほっとしたように表情を和らげた。
「それなら良いけど。無理はしないようにね」
「ああ。わかってるよ」
いけない、いけない。表情に出るなんて、自分らしくもないミス。
しかし、どんなにニコニコ笑った所で、胸の中の黒い感情は消えやしない。
寧ろどんどん身体中を侵食していくようだ。
だから嫌でも自分の気持ちを自覚をせざるを得なかった。

(…桜川はオレのことを、どう思ってるんだろう)
そんなことを考えてしまうなんて、どうかしている。
いつから自分の中に、こんな面倒な感情が芽生えてしまったのだろう。今となってはもうわからない。
この胸に燻る感情を何とか掻き消したくて、雅紀は窓際で楽しそうに会話している男子グループに声を掛けた。
「なあ、何をそんなに盛り上がってんの?」
「おっ、雅紀。聞けよ、こいつ、さっき隣のクラスの女子にさー」
「ちょっ、おい、言うなって―――」
気にしない、気になんてならない。気にしてはいけない。
ヒトミが誰を想っていようが、誰にチョコを渡していようが、自分には関係ないこと。頭の中でそう自分に言い聞かせる。
しかし、言い聞かせれば聞かせるほど、逆に自分の気持ちを自覚していくばかりで。こんな抵抗をしても無意味なのだと、心のどこかで気付いていた。


******


「ありがとう、ヒトミちゃん」
手渡したチョコレートを照れくさそうに、でも嬉しそうに受け取る透に、ヒトミも自然と笑みが零れた。
「へへ、お気に入りのお店で選んだチョコなんだ。透君にも気に入って貰えると嬉しいな」
「ヒトミちゃんからのチョコだもの。とっても嬉しいよ。大事に食べるね」
「もう、透君ったら」
アメリカへ渡り、痩せて帰ってきてからの透は、何と言うか、言葉が以前よりもストレートになった気がする。それが何だか少しくすぐったい。でも、彼の優しい声と微笑みは昔のままで、それがとても安心する。
二、三言葉を交わした後、手を振りながらヒトミと透はそれぞれの教室へと戻った。
「お帰りー、ヒトミ」
「梨恵ちゃん、優ちゃん、ただいまー」
親友達の待つ席へ戻ると、二人はニヤニヤしながらヒトミを迎えた。
「ど、どうしたの?二人とも」
「どうしたって…ねぇ?優」
「ね~?」
梨恵と優は目を合わせながら笑うばかり。理由がわからず、ヒトミは?マークを頭いっぱいに浮かべる。
「だーかーら、渡してきたんでしょ?華原君に」
「バレンタインのチョコレート」
思いがけない二人の言葉に、ヒトミは慌てて首を振った。
「え、えぇ!?わ、渡してないよっ!」
すると、今度は二人の口から「えぇぇぇ!?」と驚きの声が上がった。
「だ、だってヒトミ、さっきチョコ持って出て行ったじゃない!」
「私達、てっきり華原君にチョコを渡しに行ったんだとばっかり…」
「違うよ。あれは透君に渡したの」
丁度透から借りていた辞書を返すため、それなら一緒に渡しておこうと思って持って行ったのだ。
「じゃあ、まだ華原君にチョコ渡してないの?」
「う…うん」
少し前、女子達が雅紀が一人で裏庭にいるらしい、と騒いでいるのが聞こえた。
きっと今頃はファンの女の子達に囲まれているだろう。そう思うと、少し胸が痛んだ。
「でも、持ってきたんでしょ?チョコ。早く渡した方が良いんじゃない?」
「今日の華原君は女子達が取り合って大変だよ?何たって学園No.1だし」
「うん…。…そうだよね…」
「……?」
妙に歯切れの悪い返事のヒトミに、梨恵と優は不思議そうに顔を見合わせた。

最初はヒトミも、今日は雅紀は女子達に囲まれてしまうだろうと思い、朝一で渡そうかと考えていた。
しかし、いざ渡そうと思うと、直前で尻込みしてしまい、結局渡せず……そのまま現在に至っている。
もしかしたら受け取ってもらえないかもしれない。
迷惑だと思われるかもしれない。
そんな不安がどうしても拭えなかった。
だって彼は、この日を快く思っていないことを知っているから。

雅紀は誰にでも人当たり良く接しているが、本当は自分以外の人間は一切信用していない。
『アメリカにいた頃に酷い目にあったから』と以前口にしていたことがあるが、詳しいことはあまり知らない。
それは雅紀にとって辛い思い出に違いないから、ヒトミもそれ以上聞こうとは思わなかった。聞くのなら、それは彼が自分から話したいと思った時だ。
本当の彼は人前で見せるものとは正反対で、いつも優しい言葉を紡ぎ出している口からは、信じられない辛辣な言葉が時に放たれる。二人の時に見せる悪戯っぽく笑う表情なんて、この学校で知っているのは恐らくヒトミだけだろう。
だからこそ。本来の彼を知っているだけに不安なのだ。
(華原君、この前バレンタインなんて鬱陶しいだけだって言ってたしなぁ…)
それに仮面を付けずに接せられるヒトミに対してなら、他の子と違ってハッキリ断られたりするんじゃないだろうか…などと考えてしまう。
もし彼の口から「いらない」とか「ウザい」なんて言われたら、やはりわかっていてもショックなものはショックだ。
去年は本当の雅紀を知らなかったから、こんなに悩むことはなかった。
チョコを受け取ってくれたら良いな、なんて呑気に考えていたあの頃が妙に懐かしく感じる。

「でも、華原君もヒトミからのチョコ楽しみにしてたりして」
「うぇっ!?な、何言い出すの優ちゃん!そんなわけないって」
慌てて否定をしようとすれば、すかさず梨恵から援護射撃が入る。
「私もそう思うけどなぁ。あんた達ここ最近は特に仲良いし」
「…そ、そう…?」
確かに、出会った頃に比べたら、随分と親しくなれたものだと思う。
少なくとも嫌われてはいない…と思いたい。でなければ、いくら同じマンションの住人同士で、元クラスメイトだからといっても、こんなに付き合いはしないだろうし。
けれど、彼は本音を上手く隠して人付き合いができる人だ。それだけに、雅紀がヒトミのことをどう思っているのか、本当の所は分からない。

「だって華原君、よくヒトミ訪ねて教室来るじゃない。華原君からちょっかいかけてくることも多くない?帰りだってよく一緒に帰ってるし」
「それはだって、同じマンションだし…」
それに自分には素を出せるから、話しやすいだけなんじゃないか、と心の中で付け加える。
「それだけ~?でも、華原君ってヒトミと一緒の時は特に楽しそうに見えるんだよね」
「え?」
梨恵のその一言に、ヒトミは目を丸くする。そこへ優も続いた。
「あ、やっぱりそう見える?私もね、ヒトミといる時の華原君って、いつもとちょっと違うなって思ってたの。普段より何か雰囲気が柔らかいって言うか、より自然?って言うか」
「そうそう。だからさ、あんた達上手くいくと思うんだけどなぁ」
「そ、そう…かな?」
ちらりと机に掛けた鞄へと目線を移す。その中には、雅紀へ渡すために作ったチョコレートが入っていた。
去年の卒業式。あの時の自分は、雅紀の言葉にビックリして、とてもショックで、結局何も彼に伝えられなかった。
あれからもうすぐ一年。
…本当は、渡したい。もし受け取ってもらえなくても、今度はちゃんと自分の気持ちを雅紀に伝えたい。
「ありがとう、梨恵ちゃん、優ちゃん。私、頑張る。華原君に絶対渡すよ」
そう笑顔を向けると、二人も笑顔で「頑張れ!」と返してくれた。
いつだって自分の力になってくれて、支えてくれる。そんな親友二人の声援は、ヒトミにとって何よりも心強かった。

――放課後。ホームルームが終わり、ヒトミはそっと雅紀のクラスを覗き込む。
しかし、肝心の雅紀の姿が見当たらない。
「ねえねえっ、華原君見なかった?」
「ううん。私も探してるんだけど見当たらなくて――」
廊下にいる雅紀のファン達の会話が耳に入ってくる。
(あちゃー…一足遅かったか…)
既に雅紀はファン達から逃げているのだろう。何でこんな日に限ってホームルームが長引いちゃうかなぁ、と心の中で悪態をつく。
「…こうしちゃいられないよね」
自分だって彼への気持ちでは彼女らに負けるつもりはない。
「あっちかな?」
この二年近くの付き合いのおかげで、雅紀の行きそうな所はだいたい想像がつく。
それにきっと女の子達に囲まれているだろうから、近くまで来ればすぐわかるだろう。
屋上、体育館、裏庭…思いつく場所へ次々と足を運ぶ。しかし、いくら探しても雅紀の姿は見つからなかった。
「裏庭にもいない…。華原君、もう帰ったのかなぁ…」
気が付けば日は沈み始め、夕焼けが赤く地面を照らしている。
もしそうだとしたら、それにいっそ帰ってから渡した方が良いかもしれない。その方が確実に渡せるだろう。

(……あ)
そういえば、まだ探してない所があったことを思い出す。
校舎二階にある会議室。昔は職員会議や授業の際に使われていたらしいが、現在は使用されておらず、空き部屋状態となっている。
雅紀曰く、滅多に人が来ないから、一人になりたい時には持ってこいの場所らしい。
雅紀に用があった時、探しても全然見つからなくて、後でどこにいたのかと問いただして、やっと教えてもらったのだ。
このことを知っているのは恐らくヒトミだけだろう。
「あまり人に知られたくないからさ。誰にも言うなよ?」
そう念を押されたくらいだ。
(もしかしたら、あそこにいるかも)
もし行ってみて、雅紀がいなかったら、諦めて帰ろう。
けれど何となく、雅紀はそこにいる、そんな確信めいた予感があった。
ぎゅっとチョコレートの入った鞄を持つ手に力が入る。
「よしっ、頑張れ、ヒトミ!当たって砕けろだ!」
そう自分を奮い立たせ、ヒトミは校舎へと駆け出した。


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